カンガルーフラワーショップの前に
バイト募集中のチラシを貼り終えたその日。
カンガルーのお父さんは
仕事から帰って来ました。
「ただいま~♪」
鼻歌交じりで上機嫌です。
「お父さん、お帰りなさい!」
カンガルーちゃんが出迎えます。
「ん?お父さん、何を持ってるの?壺???」
「ふふふ♪ 実はさっき家の前でフードを被った青年に会ってな♪」
「フードを被った・・・?」
フードを被ったの言葉が何故か引っかかります。
でも頭がもやっとして思い出せません。
「その青年がこれをくれたんだ♪
うさぎの和ポットだと言っていたかな?」
「え?知らない人からもらって来ちゃったの

」
「大丈夫!とても感じのいい青年だったよ♪
あれは私とよく似たイケメンだった!」
テーブルに和ポットを置いたカンガルーのお父さんは
とても誇らしげです。
「お父さんに似てるかは知らないけど・・・

ここに置いたら、お母さんに怒られるよ」
『お母さんが怒る』と聞いて
カンガルーのお父さんはビクッとしました。
「やっぱり・・・怒るかな?


」
「うん。しかも『知らない人からもらって来るなんて!』って、
絶対に叱られると思う・・・」
「じゃあ、隅にそお~っと置いておこう。
これは二人だけの秘密だからな」
「うん。分かった」
カンガルーちゃんは頷きました。
「でもどうして、そんなに大事にするの?」
「青年が言ったんだよ。
『これを家に置いておけば、幸せが訪れる』と♪」
「・・・・・・・・・」
こういう事に弱いカンガルーのお父さんに
カンガルーちゃんは心底心配になりました。
いつもおかしな行動をするカンガルーのお父さんです。
カンガルーのお母さんは和ポットが家に置いてあっても
問い詰める事もせず放置しました。
それにしてもこの和ポット。
本当に幸せが訪れるのでしょうか?
それとも、からかわれただけなのでしょうか?
謎は深まるばかりです。
~つづく~
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